行かなきゃってわかってても、体が動かない
夫は、いつもの出社時間が迫ってきてもなかなか準備をしない。
「今日、会社休んでもいいかな?」
ぼそりとつぶやいた。
こればかりはいつものように冗談っぽく「ゼンゼンダイジョーブ!」とは言えなかった。
「うーん、そんなにツライなら休んでもいいんじゃないの?」
今の業務に就いて約1年半弱。夫はいつも職場にいくのが嫌そうで、ストレスが原因なのか手に水ぶくれが出来て、それが破けて血だらけになったりした。なぜそこまで職場の居心地が悪いのだろう。新卒で入社してひとつの会社にずっと居座っていた私には少し疑問だった。
フリーランスでも、傍から見たら会社員
彼はフリーランス(=個人事業主、いわゆる自営業)のエンジニアでエージェントを3社ほど介して、とあるホワイトな企業Aに常駐して働いていた。夫はD社と契約しているが、常駐先のはB社の社員という認識だという。
A社のプロパーな人々にも強く言えない、かといって、B社の人に愚痴れる訳でもない。これでA社のよく絡む人に恵まれれば話は別だっただろうが、運悪く上長が社外の人間には冷たい御仁だったという。
※夫談:すべてのエンジニアがこうではなく、たまたま夫が上流工程に関わる仕事で、A社の社員より権限を持ち、折衝ばかりする役回りだったため、気疲れが激しかったとのことです。
同僚という位置づけの人はいない。ほとんど一人で闘っていた。
私が会社員として職場に通っていた頃は、私の方が先に家を出ていたので知らなかったが、家を出て途中まで行ったものの、引き返すこともあったという。途中まで行ったのに帰ってくるって、相当しんどいんだな。
「もう、契約更新しなくていいんじゃない?」
そんなに心をすり減らしてまで頑張らなくてもいい。
違う案件を探してもいいし、何かやりたいコトやったらいい。
心からそう思った。
夫が脱サラした直後の話
そもそも夫がフリーランスになったのは、私が出産をして約1年が経ち、娘が保育園にいくようになった頃だった。会社では残業や出張が多く、かなりキツそうだった。辛いのはわかっていても、以前の私は夫がサラリーマンを辞める事に不安ばかりで「娘が小学生に上がるまでに年収がサラリーマン時代と同等にならなければ、就職すること」などと、覚書を強要した。
自由の身になった夫には、やりたいことがいっぱいあったが、先立つものが尽きてきてだんだん身動きが取れなくなっていた。講師のアルバイトや単発のエンジニアとしての依頼を受けて細々と稼いでいたものの、生活費は私が捻出する時期が続いた。
この時期だ。私の心が一番モヤモヤしていたのは。
やっぱりサラリーマンが一番。
サラリーマンだったら、毎月安心できるのに。
なんでサラリーマンがそんなに嫌なの?
この質問の答えはこうだった。
- サラリーマンには裁量があまり与えられない
- サラリーマンにはお給料の限界がある
- そもそも性格的に合わない
- やりたいことがある
わかる、わかるよ。
でも、先立つものがないと、やりたいこともやれないよね?
私がかなり焚き付けて、直近のストレスフルな業務委託契約を結んだ。
それでも報酬はそれなりにもらえたので、ほぼお金のために続けた。
でも、もう限界!!
そして夫、出社拒否へ。
妻の心境の変化
やっぱりサラリーマンが一番。
と思っていた私ですが、自営業の夫を数年間みているうちに、だんだんと心境に変化が生まれました。
- 自分の信用を確実に積み上げた
- 自分の資産を作り上げた
- 様々な人との繋がりができた
そんな夫をみていると
「この人はやっぱり自営業がむいてるんだなぁ」
そう思うようになりました。
旦那様が会社に行きたくないと言い出したら…
まずは、責めない。
話を聞いて、真相を見極める。
しばらく、休ませてあげる。
転職を一緒に考える。
今や私も会社を辞めちゃったので、我が家に全く余裕はありませんが、ぼちぼち幸せです。
人生において、こそまで嫌な仕事をする意味があるでしょうか?
仕事はたくさんありますから、また探せばいい。
奥さんがドーンと構えていれば、旦那さんはまた元気に出発できる。
お気楽すぎる意見かもしれませんが、これが現在の私の心境です。